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第1話  ふくふくと育った、愛らしさ。

2017/04/19

11月上旬にもち米が1袋(60kg) 私たちのもとに届いた。
早速、袋を開けて、手のひら一杯に取りだし、目を見開いてもち米をじーっと見つめる。
顔を近づけて匂いを嗅いでみる。ふくよかで真っ白なもち米は、今年もおいしそうだ。
おかき、あられの主原料である”もち米”が10月に収穫されると、その新米を使って”いつも通り”におかきを造ってみる。おかきの香り・味・食感・見た目などの変化を確認するために、毎年行われる”新米試作”である。

28年度産の新米試作は上々、いつも通り”おいしいおかき”ができあがった。
実は今年は、特別な想いがあった。
平成20年から契約栽培をお願いしている、宮城県のJA全農みやぎ、加美郡のJA加美よつば、そして生産者の皆さんのご厚意よって、私たちは5月に”田植え”、10月に”稲刈り”を体験させていただいた。

私たちが宮城県加美郡加美町宮崎地区を訪れのは、今から8年前のことだった。
清流 鳴瀬川の恩恵をたっぷり受けて育ったもち米”みやこがねもち”を我が子のように、愛おしげに、誇らしげに見つめる生産者の佐藤さん、小野寺さんと出会った。
どこまでも広がる黄緑色の稲穂は、あと少し色づくのを待つばかりだった。
目の前で風にそよぐ”みやこがねもち”が、数ヶ月後には私たちの工場に届けられのかと思うと、それは夢のようで、期待に心を弾ませたことを今もはっきりと覚えている。

そして、平成28年5月16日念願叶って、田んぼの一角で田植え体験が実現した。
泥土の軟らかさ、小さいのにみっしりした根の感触を、一株一株しっかりと感じながら。
ぬかるみに幾度も長靴を取られ、引っこぬくのに苦労しながらも、開始から約1時間半経った頃 約5アールの田んぼに、ちょっと不揃いではあるが全ての苗を植えた。
達成感で自然とみんなの顔に笑顔が溢れた。
生産地では繁忙期にもかかわらず、心のこもったおもてなしをしていただき感謝の気持ちで一杯。


田植えから143日経った10月6日、再びこの地を訪れ、稲刈りを体験させていただいた。
生産地から幾度か”みやこがねもち生育日誌”が送られ、無事に成長している様子に安堵しながら、心待ちにこの日を迎えた。
”みやこがねもち”の名前の通り、ふくふくの美しい黄金色の稲穂は眩しく、愛おしい。
生産者の皆さんの笑顔に包まれながら鎌を使った手刈りや、藁を使った束ね方を丁寧に教えていただき、私たちは見よう見まねで挑戦してみた。

杭を立てて、束ねた稲を交互に重ね並べていく、現代ではそう見ることができない”昔ながらの天日干し”の様子まで再現してくださった。
最後に、手刈りだけでなくコンバインを使った稲刈りに皆、童心に返り 夢中になっていた。
かれこれ2時間位かけて、すべての稲を刈り取り、収穫は完了した。嬉しくて籾を両手でそっと触ってみた。

私たちが今回体験させていただいたことは、もち米づくりの極極一部に過ぎない。
1年かけて、たっぷりの愛情を注ぎながら育ててこられた生産者の喜びや苦難は計り知れない。
台風の影響を受けにくいポット苗の栽培や、日中太陽で火照った体(稲)を冷やすために 夜の水温を下げるなど、自然相手のもち米づくりには惜しみない努力が日々なされている。

2日間の僅かな時間ではあったが、自分たちの目で、手で、足で、肌で感じたこの体験は、決して忘れることのない特別な想いとなった。

おかきづくりは、もち米が工場に入荷した時点ではなく、田んぼのもち米づくりから始まっている。
生産者の皆さんと心を通わせながら“おいしいを共に創る喜び”を噛みしめる。
生産地から繋ぐタスキの重みは私たちの糧になる。

蒸したもち米から立ち上る豊かな香り–
頬張れば口中に広がる米の甘さ-

その幸せを「おかき」で楽しんでいただくために、
ふくふくと愛らしいみやこがねもちは、姿をかえていく。